再読_『四畳半神話大系』
去年読んだ『四畳半神話大系』を読み直しました。
この作品は小説にしては珍しくアニメ化もされましたね。
個人的に森美登美彦さんの小説がとても好きなのですが、やっぱり読み返しても面白いです。
主人公である「私」が四畳半世界に迷い込むまでの話は、小津や樋口師匠など個性的な登場人物が繰り広げる日常やセリフによってただただ面白い話に感じます。
でも、最後の話で「私」が四畳半世界から抜け出せなくなる話になると、「私」が後悔として描いていた以前の日常というものが、楽しい生活という意味に変化していき、抜け出せるのかもわからない四畳半世界の中で、以前の日常を切望するようになる「私」の心情が実感できます。
そして、読み終わるとなぜか感動します。
今いる状況が好ましくないと感じていても、本当は逆だったということは結構あるのかもしれませんね。